昔の柑橘栽培において、高接木による栽培は一般的で、各農家さん自ら接木をしていたこともあったようです。
それなりにメリットも多かったようで、こぞって接木をしていたと聞いています。
しかし、近年では接木よりも苗木の方が品質の良い柑橘ができるというので高接木をする方は少なくなりました。
高接木の場合は接木をしてから3・4年である程度の品質と収穫量を確保できるというメリットがあります。
また、近年の注目品質の柑橘を短期間で栽培・収穫できることもあり、収入アップに繋がるともいわれています。
しかし、中間の台木の性質によっては生育状況や品質にバラつきが出るなどの影響が出るのと、寿命が短くなるというデメリットがあることも確かです。
そして、苗木の場合は一年生の苗木を植え付けてから3年は着果させない方が良いといわれ、安定した品質の果実が育つまでにはもう少し年数が必要だといわれています。
では、どのように使い分けるのが良いのか!?
苗木と高接木、どちらを選択するのかはその農家さんの考え方によりますが、短期間に改植して収量を確保したいのであれば高接木をおすすめします。
また、安定した品質のものを長期間栽培していきたいと取り組んで行きたいのであれば苗木の植え付けが良いのではないかと思われます。
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高接木して30年以上も経過しているポンカン園…。
このポンカン園は約30年以上も前に高接木によって改植されたようです。
当時は苗木よりも接木の方が人気があったようで、各農家さんはこぞって行っていたようですね。
実はこの園、元々当園のものではなかったのですが、周囲が当園の清見園だったこともあり、20年ほど前から登園が管理してきました。
引き継いだ頃は木の樹勢も良く品質の良い太田ポンカンが生っていたのですが、ここ数年、品質は落ちてきて収穫量も激減してきました。
全体的にみても樹勢が落ちてきているのが分かるように、すでに寿命が近くなっているのを否定できないように感じます…。
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細根が少なくなりやがては寿命を迎えます…。
柑橘も他の果樹もそうだと思いますが、根の良さが大切で、いかに多くの細根を持っているかが大切です。
根が健康的であれば葉も元気だし、その両方が充実していればそれに実を着ける柑橘も美味しいのは間違いありません!
この園のポンカンの木は樹勢が落ち、葉も青々としていなくて細根も少ない木が多くなっています。
そのため、着果量も少なく食味の落ちる果実が多くなりました。
そこで、全ての木の根をチェックしたところ、大半の木で細根が少なく、根の張りも弱いことがわかりました。
その結果、この園のポンカンは清見タンゴールに改植することにしました!
このように高接木した場合、台木が成木しているので苗木よりも早く育ち収穫できるまでの期間を短縮することができます。また、高付加価値の品種への切り替えも早く品種の価値が下がるまでに生産出来るので収入のアップにも効果的です。
しかし、中間台木の品質によっては生育状態が良くなかったり、果実の品質が低下したりすることも考えられます。更には寿命が短くなるという欠点があるのも確かです。
なので、当園では苗木による改植だけを採用し、年数をかけてでも安定した品質の柑橘の栽培を目指しています!