枯古木の処理が100%出来ても黒点病は防げない!?

葉の黒点病

柑橘栽培における病害虫の中で、最も被害の大きなものに黒点病があります。
この黒点病、果実や葉、枝等に黒い点々が出来る病害なんですが、果実に出来ると著しく商品価値を下げるので最も対策が必要な病害の一つになります。

実際、年間を通じて定期的に防除を繰り返しているにも関わらず、なかなか防除できません。
この黒点病の発生条件となるのが高温・多湿の気象条件であることと、雨によって拡散していくので、今の時期は最高の条件となりますかね。
おまけに、年間を通じて25℃以上の気温の日が年々多くなっていることも対応が難しくなっている要因でもあります。
これらの気象条件下でいかにして発生・拡散を防ぐことが出来るかがポイントになってきます。

黒点病といえば枯れた枝に発生して、それが雨滴によって拡散していくといわれています。
その枯れた枝の除去はかなりの時間をかけても完全に除去することは難しく、次々に出来てくるので「いたちごっこ」のような感じになります。
なので、枝を枯れさせないような木の作り方をすることが重要になってきます。
高度な剪定技術と木の管理が要求させるし、園地全体の管理も大切です。
より一層の精進が必要ですね!

 

黒点病とはいったい…。

茎の黒点病

黒点病といっても様々な症状があるのですが、一般的には黒い小さな点々が果実や葉そして枝等に出来るものが最初の段階です。
それがひどくなってくると雨滴が流れた跡が感染して涙斑状になり、これが果実に感染して一面に広がってくると泥魂状になります。
ここまでひどくなってくると対処が難しくなってきます。

この黒点病は、枯れ枝に柄子殻を作りその中で胞子の状態で越冬します。そして、気温が20℃前後まで暖かくなり、雨などにより濡れた状態になると粘質物と混ざった胞子が胞子角となって柄子殻から出ます。この出た胞子角が雨滴によって溶かされ拡散されていきます。それが枯れた枝や地面に落ちている枝にも感染します。このように枯れた枝に感染して本病原菌がまん延すると、3年程度生存して雨が降る度に胞子を出して感染させる。

発生しやすい条件とその後の対策!

枯古木

黒点病の果実への発病は5月と8月の枯枝が多く、それらに胞子の感染量がおおくなっていると多発するといわれています。
雨の日の最低気温が14℃以上になると感染し始め、22℃以上になると活発になるといわれています。この条件を考えると春の比較的早い時期から感染が始まり、秋遅くまで感染していくということになりますね。
ちなみに、20℃では12時間、24℃~28℃では8時間以上の濡れている時間が必要だといわれているので、雨が少なく乾燥している日が多くなると活発な感染は起こりにくいと判断して良いでしょう。
そして果実への感染時期は6月中旬から7月中旬の梅雨時期と8月中旬から9月中旬の秋雨時期が最も感染しやすいといわれていますが、近年の気象状況をみてみるとそれ以外でも高温多湿の時期が多く、雨量も多くなることがあるので、注意が必要ですね。

また、枯れた枝は冬場の低温で乾燥がひどい場合、3月~6月に量が増える傾向にあるのと、木そのものが古くなると枯れた枝も多くなるので、病原菌が多く発生することになります。
さらに、剪定枝や枯れた枝を園地内に放置しておくと感染源がそれだけ多くなるのでこまめな撤去作業が重要になってきます。

黒点病の防除対策としては薬剤の散布だけではなく、間伐や整枝、剪定等、木の管理を徹底することで樹冠内部への採光と通風を良くすることが大切です。また、園地においても日照を確保し、風通しを良くすることが重要ですね。

 

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