約4ヶ月間にわたる黒点病の防除。

黒点病

柑橘の病害虫で最も危惧されているのが黒点病です。
果実や枝葉に黒い斑点が着くもので、一度発症するとなかなか改善することができません。
通常は小さな斑点がポツポツ出来るのですが、量が多くなると雨垂れが流れた跡の涙斑状になったり、果実全体的に感染した場合は泥塊状になります。
このような症状になった果実は品質が著しく低下して商品価値が下がるので十分に注意する必要があります。

雨が多く最低気温が高くなるこの時期から感染が多くなることから防除を始めるのですが、その期間は気温が下がり空気が乾燥してくる秋口までといった長期にわたります。
例年、5月下旬から9月上旬ころに防除を行うのですが、近年では10月になっても気温が下がらないことが多く、その対策も考えなくてはいけないのが現状です。
現在のところ、JAの営農指導課によって防除回数等も制限されていて、その時の気象条件によって期間を延長することは出来ないのが現状です。

このようなことから、薬剤を散布する防除方法だけではなく、木の管理をはじめ、園地全体の管理を徹底し、黒点病が発症しにくい環境を作っていくことが大切です!

 

枯枝の除去を徹底することが重要!

枯れた小枝

黒点病は枯枝に柄子殻を作ってその中に胞子となり越冬します。
気温が20℃前後になり雨などによって濡れた状態になると粘質物と混ざって胞子角となって出てきます。この胞子角が雨によって溶かされると胞子が雨滴と一緒に飛散します。その胞子が葉や枝、果実に付着すると20~27℃の水滴の中で発芽して感染し黒点となります。
つまり、気温が高くなり雨量も多くなる今の時期が感染に適しているということになります。
これが枯れた枝や地面に落ちている枝に感染すると、その病原菌は3年ほど生存し続け雨が降る度に胞子を出し続けて感染を拡大させます。
そして、夏場の雨が少ない時期に一旦感染は鈍ってくるものの、9月頃の雨量が多くなる時期に再度活発になり感染を拡大させます。

このようなことから枯れた枝の除去はとても大切で、木の管理を徹底することと、地面に落ちている枝も園地内に放置しないことが感染の拡大を防ぐポイントになります。

効果的な防除対策は…。

散布状況

黒点病の完全に防除することは簡単なことではありません。
現実問題として、枯れた枝の除去といっても完全に出来ることでもなく、しかも枝は何らかの原因で増えてきます。特に木が古くなってくると枯れる枝も多くなるし、剪定した枝や地面に落ちている枝も完全に園内から除去することは大変なことです。
このようなことから園地や木の管理も重要で、間伐や縮伐、そして剪定を徹底して、園地内や樹冠内部への日当たりを良くするとともに風通しもよくすることと、落葉による枯れた枝の発生を防ぐことが大切です。

また、的確な薬剤の散布も効果的に行うことで果実への感染を防ぐことも重要です。
特に注意すべき感染時期は梅雨時期と秋雨時期なので、この時期に徹底して散布することが大切です。

また、この薬剤散布に関して個人的に考えることは施設による散布よりは手掛けによる散布の方が効果的であると考えています。
設備によって大量の薬剤を園地全園に散布することは、労力の軽減にもなるし、それなりに効果はあるのかもしれませんが、木の管理が出来ていないと散布にムラが出来ることも考えられます。
その一方、手掛けの場合は労力はかかります。しかし、一本の木に丁寧に散布することが可能で、最小限の散布量で効果を得られると考えています。

いずれにせよ、この黒点病を防除することは柑橘栽培において必須の課題です。
的確に対処することが重要ですね!

 

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