柑橘の病害虫の中でも厄介な黒点病。
果実に発生すると商品価値を落としてしまう困った病害です。
近年消費傾向で多少の見た目の悪さは受け入れてもらえますが、それでも「ワケあり」といったようにB級品の扱いです。
この黒点病は果実や葉、そして枝に黒い点々が出来るもので、密度の低いものは黒い点々がポツポツと出来ます。
しかし、密度の高いものは雨垂の流れた跡に発生し淚斑状になります。
雨量が多く気温の高い状態になると発生しやすく、主に枯れ枝に発生し、その後、枝や葉に、そして着果してくると果実に感染します。
これを防除するために年間定期的に農薬の散布を行っているのが通例ですが、それでもなかなか発生を抑えることが出来ません。
単に定期防除を実施するだけではなく、感染源となる枯れ枝の除去の徹底は大切になってきます。
更には、その枯れ枝を作らないよう、木の内部にまで日差しが届くように剪定し、風通しもよくすることが必要です。
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枯れ枝を発生させない剪定作業が前提です。
柑橘栽培において重要な作業のひとつが剪定作業です。
木の管理が出来ていないと安定的な着果量を確保できず隔年がひどくなったり、病害虫の発生を助長する結果になります。
この黒点病においてもこの剪定作業は大切で、木の内部にまで日差しを届けることで枯れ枝の発生を防ぎ、さらに風通しをよくすることで病害虫の発生を抑制することが出来ます。
そして、枯れ枝は発見次第除去することが大切で、園内での作業の際、見つけると必ず除去することが重要です。
それらを実施した上で定期的な防除を実施することで発生を抑えることが出来ます。
近年の温暖化で高温の時期が長く、雨量も多くなることで病害の発生を助長する条件が揃ってしまいます。
これからはいかに木の管理を徹底できるかがポイントになりそうです…。
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黒点病の菌は3年程度生存する!
黒点病は枯れ枝に柄子殼(へいしかく)を作ります。
その中で胞子となり越冬し、気温が20℃程度に上がり雨などで濡れた状態になることで胞子角となって柄子殼から出ます。そこから雨滴と一緒に飛散した胞子が葉や枝に付着すると水滴の中で発芽して感染し黒点になります。
つまり、枯れ枝の中に出来た黒点病の胞子が気温の上昇と雨によって飛散し葉や枝、そして実に感染していくということです。
そして、一度枯れ枝にまん延した病原菌は3年程度は生存するといわれています。
また、地面に落ちている枯れ枝にも感染していきます。
このようなことから枯れ枝の除去と園内の撤去、または焼却処分が大切だということになります。
近年、農家さんの高齢化によって放置園が増え、管理できない園地に病害虫が発生している現状と、自園の管理がままならないことなどから防除が難しくなってきています。
日頃の木の管理と定期的な防除によって対応するのが最善の対策になるのですが、これをいかに実施していくかが今後の課題になっています…。