「たい肥による土づくりを!」
良く耳にする言葉ですが、たい肥の効果は土壌の水はけを良くして、なおかつ、保水力をアップすることです。
そのことによって生産力の安定と強化につながるということ…。
つまり、土壌がしっかりしてくると病害虫にも強くなるので、その効果として生産力がアップしそうに感じます。
もちろん、アップはするのですが、その効果は10%程度にとどまるという結果が出ているようですね。
なので、たい肥を施用したからといって作物に直接影響するのではなく、土壌が良い状態になるということだといます。
このように土壌がしっかりしてくると良い品質の柑橘が出来そうに思ってしまいがちですが、それはたい肥の効果としては薄いようです。
たしかにたい肥には窒素やリン酸、カリウムなどが含まれているので、それなりの効果はあると思いますが、肥料の代替えとしての効果はそれほど見込めないような気がするのですが…。
どちらかというと、除草剤などを多用して土が固くなったり、栄養分の少なくなった土壌の改善を目的としていると考えた方が良いでしょうね。
なので、たい肥によって土壌が良くなり、その後で肥料による品質の向上を目指すといった形になるのだろうと考えています。
土づくりの目的は…。
たい肥によって水はけを良くし、保水力をアップさせるという一見、矛盾しているようにも感じる効果ですが、たい肥を施用することで土壌内に団粒構造が作られることで水はけと保水力がよくなったり、土が柔らかくなったりします。
また、栄養豊かな土になります。
さらには、保肥力が強くなったり病害虫に強い土になるといった効果も期待できます。
しっかりとした土壌のもとであれば収穫量も増えてくるように感じますが、実はそれほどでもないという結果が出ているようです。
さらに、長期間施用しても、施用する量を増やしても10%以上の収量アップの効果はみられなかったようです。
ですが、不作の年には収量の落ち込みが少ないといった結果も出ています。
そして、たい肥単体での効果としては品質の向上はほとんどみられなかったという結果も…。
このようなことから、たい肥は収量アップが目的ではなく、土壌を改善させることによる安定生産が目的だということが良く分かりますよね。
たい肥を施用するということは!?
たい肥化という言葉をよく使いますが、これは作物にとっての有害物質を家畜が食べることで取り除き、それを土壌に戻した時に効果的に働くということ。
完全たい肥と呼ばれるものには有機物を食べて増殖した微生物と、その微生物によって有機物が変化した腐植、さらに腐りにくい有機質で出来ているようです。
つまり、たい肥化とは有害物質をなくして微生物を増やすということなんだろうと思いますね。
また、たい肥にはリン酸やカリウム、そして窒素等の肥料成分も含まれています。この中のリン酸やカリウムは化学肥料並みの効果があるといわれています。
しかし、この窒素の扱いが難しく、たい肥に含まれる窒素の一部のみが科学肥料の窒素と同じ働きをするようで、この窒素の割合、つまり肥効率は家畜や副資材の種類や量、製造方法で等で違いが出てくるし、施用の仕方でも変わってくるようですね。
作物はこの肥効率に応じた量の窒素しか吸収することが出来ないので、残りの窒素は堆積されていきます。
いこのように、たい肥を肥料として利用する場合は過剰に与えすぎると土壌内の窒素が過剰になり弊害を引き起こすこともあるので注意が必要です。
ここ数年、肥料が高騰しています。
なので、たい肥を肥料として使いたいと考えるのは当然で、経費削減のためにも有効かもしれません。しかし、過剰にならないように作物の生育状況をみながら徐々に与えていくしかないようですね…。
先ずはたい肥による土壌改良を目指し、肥料とのバランスを考えながら施用していくことが大切だということになります!