バイオ炭

作業日誌(デコポン園で陰切り)

2025年11月26日

晴れ時々曇り一時雨 21.7℃

園地:オチミズ(デコポン園)

作業内容:陰切り(雑木の手入れ)

今回はデコポン園の外周に広がる雑木の陰切り作業を実施した。

当園の周囲は耕作地よりも雑木林が多く、農薬や肥料の飛散を受けにくいという利点がある一方で、日照や風通しを阻害しやすいという課題もある。

特に近年は雑木の手入れをする農家が減りつつあり、園地管理としてこの部分に向き合う必要性を改めて感じた。

雑木も防風垣と同じく、“木を守るために木を整える” という考え方が重要。柑橘は周囲の環境要因に敏感だからこそ、木が本来の力を発揮できる環境を整えることが大切だと実感している。

そして今シーズンからは、この雑木の処理材もバイオ炭化して園地に戻していく方針へ。

森の保全 → 炭化 → 土へ還元 → 柑橘の生命力アップ

という循環を作るための、新たな一歩となった。

「周囲の環境も含めて園地を育てる」

そんな思いで、これからも一つひとつ積み重ねていきたい。

初見・メモ

雑木の陰が強く、日照不足が気になる場所が複数 手入れ後、園地への風抜けが改善 丸太は炭化可能なサイズにカット済み 雑木の炭化は今後の大きな循環の柱になりそう

作業日誌(バイオ炭作りと出前授業)

2,025年11月13日

雨のち曇り 13.5℃

園地:午前→ねのfarm/午後→三崎高校出前授業

作業内容

午前中は雨のなか、ねのfarmで無煙炭火器を使った製炭作業を実施。

杉葉や広葉樹の小枝を炭化させる試みを行ったが、燃焼・炭化・冷却を一気に進める無煙炭火器の特性上、やはり難しさを実感した。それでも杉葉も一部はしっかり炭化しており、今後に繋がる手応えを得ることができた。

午後からは三崎高校で出前授業を実施。

はるみ・栗・ヤマモモで作ったチャコールペンシルを実際に手に取りながら、バイオ炭の可能性や商品としての展開について高校生たちと意見交換を行った。現場の視点とは違う柔軟な感性に、こちらも学びの多い時間となった!

所見・メモ

・杉葉の炭化は難しいが、成功した一部の炭は質が良い。

・チャコールペンシルは若い世代の反応が良く、商品化を考える上で大きなヒントに。

・今後、ねのfarmでの小規模炭化と教育プログラムの連携をさらに深めたい。

作業日誌(はるみ摘果玉・製炭用収穫)

2025年11月5日 曇り 14.1℃

園地:トミノカ(はるみ)

作業内容

今日は製炭用のはるみ摘果玉の収穫を実施。

もちろん、道の駅きらら館で販売するための見た目の良い果実もその中から選別したが、それ以外の果実は乾燥後に製炭する予定。

これまで摘果玉といえば、害虫被害や果皮障害などで販売できなかったものは廃棄するしかなかったが、製炭化を進めることで新たな価値を生み出せる可能性が見えてきた。

前回の試作結果でも、柑橘果実のバイオ炭は炭化状態が良好で美しい仕上がりとなり、今後は商品化の方向で検討を進めていく。

特に柑橘を原料にしたバイオ炭は、まだほとんど例がないため、「ユウギボウシ愛媛」らしいリジェネラティブな発想の新商品として高い付加価値を持たせることができそうだ。

所見・メモ

・今回使用するカットしたはるみの摘果玉は乾燥も進んでおり、炭化の進行がスムーズにいく見込み。

・果皮障害果や形の悪い果実も、炭化によって一つの資源として蘇る。

・このプロセスは、今後の「循環型農業」の中で重要な要素になりそう。

・乾燥段階では除湿管理を徹底し、炭化時のひび割れ抑制と形状保持を意識した。

作業日誌(ねのfarm・サンフルーツ製炭と杉準備)

2025年11月4日 晴れ 15.8℃

園地:ねのfarm

作業内容

本日は窯出し作業。

今回使用した原木は、ねのfarm内で耕作放棄されていたサンフルーツの木と、他園地で伐採された同種の木を合わせたもの。

長期間乾燥させていた影響で、一部崩れている炭も見られたが、炭化状態は良好で全体として品質は安定している。

また、柑橘(はるみ)の摘果玉を半分にカットして製炭したバイオ炭もきれいに仕上がっており、果実の構造を活かした形状が印象的な出来栄えだった。

今回の歩留まりは19.8%。

前回に続き安定した結果で、炭化工程がほぼ確立してきたといえる。

窯出し後は、次の製炭に向けて杉材の準備作業を開始。 

柑橘とは異なり、杉は密度が粗く柔らかめの材質のため、どのような仕上がりの炭になるか期待が高まる。

所見・メモ

・今回の炭は軽量で通気性が高い。土壌改良材としてのポテンシャルが高い。

・果実由来の炭は形状の面白さから、アート素材・装飾用としての展開も見込める。

・今後は、柑橘系・広葉樹・針葉樹の炭質比較データを蓄積し、用途別に最適化していく予定。

・製炭後の灰分も分析し、ねのfarm循環プロジェクト内での完全利用を目指す。

作業日誌(ねのfarm・バイオ炭選別作業)

2025年11月2日 晴れ 13.8℃

園地:ねのfarm

作業内容

昨日(11/1)に窯出ししたバイオ炭の選別作業を実施。

粒径によって用途が異なるため、ふるい分けを行い大・中・小の3タイプに分類した。

大粒(左):形状や模様を活かして観賞用・花炭アートなどに。

中粒(中央):消臭・除湿・保湿効果を活かした生活環境改善資材として利用。

小粒(右):土壌改良用に最適。微生物の住処として機能する。

さらに、この選別炭の一部を、今後出展予定の**「エコプロ2025」用サンプル品**として整え、ねのfarmブランド「ne no wa」のラベル入り袋に梱包した。

所見・メモ

今回の炭は、前回よりも炭化度が均一で軽量感が高い仕上がり。

素材に使用したサンフルーツや清見タンゴールの木の違いが、それぞれの炭の質感にも表れているのが興味深い。

また、選別作業を通じて、製炭工程の中での歩留まりや粒度分布の把握が進んだ。

これにより、次回以降の生産計画や、販売・展示向けのラインナップ構築がしやすくなる。

ne no waブランドのパッケージも完成し、「炭のある暮らし」をテーマにした循環型商品の形が見えはじめてきた。